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【ブログ】旅先で古着を買うこと

妻を見ていると、古着を売るのは大変そうだ。

古着は、ほとんどが1点モノの為、撮影しては売り、撮影しては売りをひたすら繰り返す。

店頭では色も形も全部違うので、売れる度に何時間もかけて店頭を今ある在庫が1番よく見える配置に変えていく。

それでも、本人は楽しいっぽい。

月に2、3回は夜行バスで買付けに行って、お店に届いた大きなダンボールを開封して1枚ずつアイロンをかけていく。

「これ売れなかったら欲しいなぁー。」

とか言いながらアイロンをかける古着は、店頭に出した途端に売れたりする。

そう、古着屋でいい服に出会うには運も必要なのです。

そういうのを見ると僕は少し勿体なく感じて、同じのが何枚もあればいいのになぁー。なんて思ったりもする。

けれど、ある日のお客さんに「どこから来たんですか?」と聞くと遠方から京都にいらしたお客さんでした。

続けて、話してると「旅行先で古着を買うようにしてるんです。」と言うのです。

思い返せば、他のお客さんでも大きな旅行バッグを引き下げて立ち寄ってくれる方は多い。

なぜ、旅行中にわざわざ古着屋に行くのだろうか。

(僕はご当地Tシャツを買ってしまうタイプ)

古着に携わってなければ「へぇーそうなんですね。」くらいで終わるような話ではあるが、少し深堀ると先程の運の要素が多少なりとも影響しているのではないかと思う。

今どき、通販などを利用すれば服それ自体は簡単に手に入れることはできるが、その古着はそのタイミングで、そこに旅をしてなければ出会うことのない服なのです。

これは、同じものが手に入らない、唯一無二の古着だからこその購買体験で、彼女達は旅先だからこそ古着屋に出会いを求めることに価値を感じているのかもしれません。

たしかに服を「必要なもの。」とだけ捉えれば、安くてクオリティの高い服は簡単に手に入るようになった。

「その服いいね。」と声を掛けると「ユニクロです。」なんて言われて驚くことがよくある。

だけど、「その服いいね。」と声を掛けたとき、

その日着ている古着が、旅の思い出と共に語られていれば、それはとても素敵だなぁと思った。

西田